アライドテレシス株式会社とさくらインターネット株式会社は2026年2月24日、両社の製品・サービスを連携させた協業体制の構築に関する基本合意を締結しました。この合意は、アライドテレシスのネットワーク機器・管理サービスと、さくらインターネットのIaaS環境を組み合わせることで、より安全で便利なIT環境の実現を目指すものです。
両社は今後、ネットワーク管理とクラウド基盤の連携に関する技術検討を進めるとともに、地方自治体や中央省庁、医療分野などを対象とした具体的なサービス展開に向けた協議を行っていくとしています。
ネットワークとクラウドの境界が変化する時代に
この協業の背景には、クラウド利用の進展によってネットワークとクラウドの境界が曖昧になり、一体的な設計が求められるようになってきた現状があります。
アライドテレシスは1987年創業の国内ネットワーク専業メーカーとして、拠点から基幹ネットワーク、データセンター領域までを網羅する製品群と、構築・管理支援サービスを提供してきました。特に自治体や文教、医療分野でのネットワーク機器導入・運用において多くの実績を持ちます。
一方、さくらインターネットは1996年創業のインターネット企業で、「さくらのクラウド」をはじめとするクラウドサービスを国内のデータセンターから提供しています。同社のサービスは、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)に登録されており、ガバメントクラウドの利用対象サービスとしても認定されていることから、高いセキュリティ要件や国内完結性が求められる領域で活用されています。
国産IT基盤の選択肢が持つ意味
この協業を、法人向けIT環境の選択という文脈で捉えると、いくつかの示唆が見えてきます。
まず、ネットワークとクラウドを別々に調達・管理するのではなく、連携を前提とした統合的なアプローチが現実的な選択肢として提示されつつあることが挙げられます。従来、ネットワークはネットワークベンダー、クラウドはクラウドベンダーという形で個別に選定されることが一般的でしたが、両者の境界が曖昧になる中で、連携を見据えた選択の重要性が増していると言えそうです。
また、両社が「国産事業者」であることを強調している点も注目に値します。特に公共分野や医療分野においては、セキュリティ要件や情報の取り扱いに関する厳格な基準が求められます。国内で運営されるデータセンター、国内メーカーによるネットワーク機器という組み合わせは、こうした要件に対応しやすい選択肢として位置づけられると考えられます。
さらに、クラウド環境の選定において、グローバルなメガクラウドだけでなく、用途や要件に応じて国内事業者のサービスを組み合わせるという選択肢が現実味を帯びてきていることも、この協業から読み取れる変化の一つです。
選定における新たな視点
IT環境の導入や見直しを検討する立場からすると、この協業は選定時の視点に変化をもたらす可能性があります。
ネットワーク機器を選ぶ際に、クラウド環境との連携のしやすさや一体管理の可能性を考慮することが、今後より重要になってくるかもしれません。同様に、クラウド環境を選定する際にも、既存のネットワーク環境やネットワーク管理体制との親和性を検討項目に加えることが求められそうです。
また、公共分野や医療分野に限らず、セキュリティ要件や情報管理の基準が厳しい業界では、国内事業者による統合的な提案が選択肢として浮上してくる可能性があります。導入コストだけでなく、運用時の管理負担やコンプライアンス対応のしやすさといった観点からも、こうした選択肢を比較検討する価値はあると言えるでしょう。
まとめ
アライドテレシスとさくらインターネットの協業は、ネットワークとクラウドの境界が曖昧になる中で、両者を一体的に捉えたIT基盤の在り方を示す動きとして捉えられます。
国産事業者同士の連携によって、セキュリティ要件や国内完結性が求められる領域に向けた新たな選択肢が生まれつつあることは、法人向けIT環境の選定における比較軸に変化をもたらす可能性があります。
今後、両社がどのような具体的なサービスを展開していくのか、そしてそれが市場にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していく必要がありそうです。

